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2017年3月19日 (日)

フォトモンダージュをつくるワークショップ手法

まちづくりの現場で写真を使って合意できる景観を探り出す「フォトモンダージュ」という方法を使っています。
これまで、大船渡市綾里地区の防潮堤のデザイン(2012年)、山形県鶴岡市の街路整備(2015年)、某区の都市計画道路の沿線の街並み(2017年)、の3つの現場で使ってみました。時々思い出したように使っているだけですが、ちゃんとまとめたことがなかったので、その方法と成果をまとめておきます。
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方法はとても簡単で、対象の景観の写真を準備しておき、その上に街並みなどのパーツの写真(例えば路面のパターンや街路樹のパターンなど)を重ねていき、それを参加者の方に見ていただきながら、みなが「これだ!」と言える景観写真をつくり出すというもの。PCの中にAdobe社のPhotoshopを入れておき、Photoshopのレイヤー機能を使って重ねる写真を切り替え、それをプロジェクターで映写しながら進めます(上図がオペレーションの画面)。事件の目撃者に犯人の顔のモンタージュ写真を作ってもらうのと同じ要領です。Photoshopの本来の使い方ではないのかもしれませんが・・・
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上図は大船渡市綾里地区で防潮堤のデザイン案を検討した時に準備したもの。こうしたデザインのバリエーションをあらかじめphotoshopのレイヤーに仕込んでおき、パチパチ切り替えながら話しを進めていきます。なおこの資料は、震災後に岩手県が刊行した防潮堤のデザインガイドラインから作ったもの。震災後は、こうしたもののデザインの検討にあまり時間をかける余裕がなく、少ない時間の中で漁師さんたちにデザインのオルタナティブを理解してもらう必要がありました。岩手県のガイドラインはとてもわかりやすくまとめてありましたが、それでもそれを見ながら議論をすると時間がかかりそうでしたので、ガイドラインの中身をフォトモンタージュのパーツで作り、それを見ながら決めていきました。
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上図が案の変遷です。途中で樹木を足したり、緑化にしたり、行きつ戻りつしましたが最終的にはシンプルなものに落ち着きました。少人数の小さな集落で開いたワークショップでしたので決まるのは早く、7人で30分くらい検討をして、案を決めることが出来ました。
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上図は鶴岡の街路整備のデザイン案の検討。ここでの検討は、震災復興と違って緊急性がなく、街路整備のデザインを決めるだけでなく、まちづくりに発展するような検討が求められました。つまり、正確に決めるためのフォトモンダージュではなく、イメージを膨らませるためのフォトモンタージュです。ややラフな、考える余地、発想の余地をたくさん残した素材を準備し、それを組み合わせながらデザインを考えていきました。イメージを膨らませるために、モンタージュのパーツをどれくらい準備するのか、(たとえばベンチの種類なんてそれこそ無限にあるわけで・・)苦心しました。
この時は4つのテーブルに分かれて検討し、それぞれ1時間もかからないで幾つかの案をテーブルでまとめることができました。ワークショップの結果からデザイン要素を抽出して整理し、これの次のワークショップでは絞った案を模型にし、さらに2回議論をしてデザイン案を決定しました。このワークショップは議論がたくさん出る、にぎやかなワークショップ(ともすれば意見が多すぎてまとめるのに苦労するワークショップ)だったのですが、一つの画面にグループの人たちが集中するので、具体的な成果が速くまとまる方法だなあ、ということをあらためて感じました。
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上写真は2週間前に開催した某区の都市計画道路の沿線のまちづくり懇談会。ここでは都市計画道路の整備にあわせて、周辺の街並みを検討しています。道路整備にあわせて沿道の用途地域を変えるかどうか、地区計画をかけるかどうか、という検討につながっていく懇談会です。
住宅街にできる広い復員の道路であり賛否が様々であること、そして道路に土地を買収される地権者さんたちも参加する会合であることから、鶴岡のワークショップとは異なり、事前に行政とも十分にオルタナティブ(準備するパーツ)を準備してのぞみました。前二つのワークショップは研究室で準備しましたが、このワークショップはコンサルさんが準備しましたので、よりプロっぽい正確さ、精密さを持ったモンタージュになりました。
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3カ所での経験を並べてみると、それぞれ位置付けや、結論の抽象度、そこで得られるべき合意の強度のようなものは違うので、それなりにチューニングはしています。しかし、どれの場合も、参加者が集中し、具体性を持った議論を行い、そしてその場で決まったことが確認できる、という意味では共通していました。
下図は、最終的に決まったものを模造紙に映写し、それにさらに意見や修正点を手書きで書き込んでいるところ。こんな感じで、デジタルとアナログを重ねていくこともでき、合意形成のサポートツールとしては結構つかえるなあ、と感じているところです。
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