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2017年6月 9日 (金)

まちづくり市民活動の読み方

5月末に今年から審査員をつとめている、ハウジング&コミュニティ財団の助成団体の交流会出席のため尾道に。ながらく見たかった尾道の空き家再生のプロジェクト群も見学することができました。
HC財団は92年にできた財団なので、もう25年。設立時に確か当時にトヨタ財団にいらした山岡義典さんが助言をされて、ハウジングとコミュニティの分野の市民団体にまとまった活動資金を助成するプログラムをもってスタートした財団だったと記憶しています。当時はまだNPO法もなかったわけですが(山岡義典さんはその後にNPO法をつくる方向に展開される)、25年の間に、すっかりこうした活動が太い流れになってきたのだなあ、と実感する1日でした。
今年は全部で172件の応募があり、いくつかの関門をくぐり抜けた15件が助成団体となっています。当日はこんな感じで発表を伺って、あれやこれやと知恵の交換をしていました。
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(写真はHC財団の大内さん提供)
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2000年から2005年ごろにかけて、5つくらいの自治体で「まちづくりファンド」などの市民団体への助成金への審査のお仕事を集中的に引き受けていた時期があり、それは私にとって、地域社会で起きている課題と、それに対して市民が時に野性的に、時に規範的に組み立てた対応を知る、とても勉強になる時間でした。
地域のプランニングにとりかかる時に、客観的な分析作業をして地域社会で起きている課題を抽出する、という方法はもちろん大事なのですが、まちづくりファンドを、ある時点の多主体の主観的な課題認識とそれへの対応策をざっくりと網にかける方法として捉えると、地域社会分析の一つの手法として捉え直すことができますね。
ハウジング&コミュニティ財団はこれまでの助成団体の一覧を公開しているので、これらを分析することで地域社会の課題変化の一断面を切り出すことができます。
ちなみに、今年は、ともかく空き家を使った提案が多かったです。私は今年からですが、これは近年の傾向なのかもしれないです。見学会で見た尾道の取り組みにもたくさんのヒントがありました。
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とはいえ、「ハウジング」も「コミュニティ」も、はたまた「すまい」も「まちづくり」も、もともと日本の社会の中には無かった言葉であり、饗庭説では、人口増加をとりあえず乗り切るためにやむを得ず導入された言葉。
人口が減っていくと、この言葉を使わなくてもよくなってくるはず、わざわざこの言葉で結びつかずとも地域社会は運営されていくはずなので、その時にこれらの言葉とどう距離を取っていくのかが、最近の饗庭の研究テーマではあります。
交流会に参加した今年の助成団体の活動を拝見しながら、この方々の野生感と規範感あふれる市民的実践を、「すまい」や「まちづくり」という言葉に無理に包摂せず、「すまい」や「まちづくり」という言葉を乗り越える実践としていくには、どういうふうにしたら良いのだろう、とつらつらと考えていました。
尾道を見て思ったのは、空き家や空き地がなんだか土木っぽいなあ、ということ。建物としての機能をいったん終えて、ただの土と木の構築物になったときに、それらを削り出すようにして空き家が再利用されています。
尾道は地形があるので、地形と一体化してしまった土と木の構築物を削り、再構築して新しい地形を作り出していく、という感じでしょうか。
その「地形をつくる」というところに、「すまい」や「まちづくり」という言葉を乗り越える実践があるのかなあ、とつらつらと考えています。
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尾道の人道橋。こんな感じで土と木が地形と一体化しています。

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