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2021年3月

2021年3月27日 (土)

卒業おめでとうございます

今年も無事に5人の卒業生を送り出しました。この学年は途中でコロナが・・(中略)・・でした。他人の人生を変えることがわたしの生きがいなので、卒業する彼らから種明かしのように、「実はあのときのあれで、こうなりましてん」という話をたくさん聞かされて、嬉しそうな顔をしております。
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最後にもうひと押しだけ人生を変えてみよう、ということで、卒業生には毎年「饗庭が読んだことのない本を、本屋で選んで、差しあげる」ということにしています。もちろん卒業生が持っていない本を選ぶわけなので、これがなかなかの難題。
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(写真左から右へ)
都市の中に微かに残っている中世の城郭跡地という絶妙なテーマを深く掘り下げた安武くんには、「史観が大事」ってことで、 末木文美士の「日本思想史」を。
多摩ニュータウンの初期の専業主婦(都市計画に血肉をあたえた、たくましい人たち)にひたすらインタビューを重ねた末沢さんには、鷲田清一の「「聴く」ことの力」を。
自治体のパブリックアート政策の現在地を、ぶれることなく丁寧な作業で明らかにした立木さんには、長田弘の「世界はうつくしいと」を。
そして今年はなぜか猟師が二人いたのですが、一人目の猟師、不動産を地縁団体に寄付をした事例を、関東の周縁から狩り出した山口くんには、「教養」という言葉が似合いそうなので、オルテガの「狩猟の哲学」を。
最後に、いろいろ突き進んだ結果、房総半島で猟師の見習いをやりながら、晴海に通ってタワマンのコミュニティの研究をするという極端なことになり、その間に自分のまちづくり会社を立ち上げつつ、まずは大工の修行を始める田中くん、これだけやっても、そこはかとなく「永遠の無職感」がただよう田中くんには、トム・ルッツの「働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち」を。
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しんみりする間もなく新しい都市が始まります。みなさん、健康に気をつけて、また私をニヤニヤさせてください。
おめでとうございます!

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2021年3月16日 (火)

韓日の都市計画のシンポジウムを開催しました

ここ3年ほどソウル研究院の方々と、2000年以降のソウルと東京を比べてみようという研究をやっており、その報告会を開催しました。便利なもので、オンラインで日韓同時開催です。
実はウェビナーをやるのが初めてだったので、最初は慌てましたが、なんとか無事に。お客さんは日韓から80人くらい。(発表者10人中9人がきっちり5分ずつ遅れたので、議論の時間が十分に取れなかったことは反省)
ソウルで刊行される報告書を昨年に書き、事前に何度か意見交換をしていたので、それなりに整理された最新情報を出せたのかなと思っています。
ソウルと東京の都市計画は、途中で別れた兄弟のようなものなので(それはもちろんいい歴史ばかりではありませんが)、それぞれを比べると学べることがたくさんあります。こんな感じで時々、それぞれの蓄積を棚卸しして交換しあえる関係は、本当に財産だなあと思います。

シンポジウム用にサマリーをまとめて公開していますので、ご興味の方はこちらから適当にダウンロードください。もちろんフリーです。

いつもだと、1日かけてどちらかの都市に集合して、終わった後はキムチか焼き鳥なんですが、朝9時に大学に出かけて、国際シンポジウムをやって、夜は家で餃子を食べているんだから、便利になりました。でもなあ。。。

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ソウル・東京の都市再生:現在・過去・未来
21世紀に入り、市場の力を都市計画に活かす新自由主義型の都市計画手法が世界各地で導入され、日本では2000年代初頭に法制度枠組みが大きく転換し、韓国でもIMFショック以降、ほぼ同時期に大きな政策展開がみられました。こうした転換の成果と制度枠組みの実態を明らかにするために日韓の研究者で共同研究を重ねてきました。本シンポジウムは研究の成果を報告するために開催されます。シンポジウムはソウルと東京をつないでオンラインで開催され、韓国語と日本語の逐次通訳が入ります。無料でどなたでもご参加いただけますので、奮ってご参加いただけますようよろしくお願いいたします。
■日時 2021年3月16日 13:30-17:00
1.基調報告:ソウル・東京の都市空間の構造と主要政策の動向 30分
  Yang Jae-Seob(ソウル研究院)+饗庭伸(東京都立大学)
2.テーマ別報告 各30分
(1)地域間の不均衡と格差
  Kim Sang-Il(ソウル研究院)+浅川達人(早稲田大学)
(2)超高層マンションの開発問題
  Min Seung-Hyun(ソウル研究院)+大澤昭彦(高崎経済大学)
(3)リニアな都市再生事業の波及効果
  Seong Su-Youn(ソウル研究院)+片桐由希子(金沢工業大学)
(4)交通と都市開発
  KIM Seung-Jun(ソウル研究院)+小根山裕之(東京都立大学)
3.総合ディスカッション 40分
  長野基(東京都立大学)+鄭一止(熊本県立大学)+上記報告者

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2021年3月11日 (木)

老朽化する郊外住宅地とエリア再生

本日は黙祷の合間に、不動産学会のシンポジウム「老朽化する郊外住宅地とエリア再生」を聴講。タイトルにある「エリア再生」という言葉はうまくこなれていないようでしたが、郊外住宅地再生の最新知が一覧できるいいシンポジウムでした。
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最新知ががちゃがちゃとぶつかっているので、それの合わせ技できちんと問題が解けるのかどうかをつらつらと考えていたのですが、いくつかはまだ解けていないと思いました。もちろん私も含めて考えないといけないことです。
一つは、「足による投票」が強調され、郊外住宅団地は「市場の選択に任せるしかない」というような基調だったのですが、一方で、住宅地を人々が簡単に動かない、意思決定に時間がかかるということのリスクも強調されていました。つまりは「足による投票」がすり足なみに大変に遅い、ということなので、そんなゆっくりとした投票に任せていてもいいのかな、ということ。「市場による値付け」と「足による投票」のギャップが空き家の発生とか、ちょっと嫌な感じの汚れた街を出現させているわけなので、そのギャップは無視できないんじゃないか、つまりギャップに注目したモデルが必要なのではないかと思いました。
もう一つは、「市場による選択」の結果、中心市街地が捨てられるということもあってもいいのか、という質問を私はしたのですが(=コンパクトシティはできないですよね、という質問)、「それもやむなし」というお答えでした。一方で、別の文脈でしたが、同じパネラーから、立地適正化計画でコントロールしていくべきというような発言もありました(=コンパクトシティ方向に誘導すべきという考え)。つまるところ、市場任せではなく、市場を読み切って、適切に政府が介入せよ、ということだと思うのですが、その適切さ、つまり規制の強弱とか、タイミング、市況の読み方などが、まだ解けていないということ。そこにきちんと知見を出していきたいなあと思いました。
ところどころ聞き流してしまったので、正確な理解ではないかもしれません。いずれにせよ、いいシンポジウムでした。

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2021年3月 8日 (月)

伊計島の共同売店

沖縄の伊計島の共同売店を見にいってきました。ここ数年ハウジング&コミュニティ財団の助成金の審査をしているのですが、助成事業のいくつかは実際に現地に見にいくということになっており、気楽にお引き受けしたら、えらく遠かったです。知らない人は、是非とも地図で探してみてください。先の先のそのまた先という感じです。
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さて、伊計島をはじめとして、沖縄の共同売店は1906年から続く集落が経営する売店で、集落の人たちがお金を出し合って設立した、生協のルーツの一つとも言われるものだそうです。
現在も経営についての意思決定に集落の自治会が関わっているパタンが多いそう。そして助成事業は、その売店の一部を改装して買い物に来た人たちの場所にするということと、赤字と黒字がぎりぎりのところの経営を改善するための調査を行う、というものでした。
つくったスペースは3枚目の写真のとおり、そして経営は営業時間を短縮することによって固定費を減らしたそうです。どちらもうまくいったそう。印象に残っているのは、一つ一つの事項を自治会の意思決定を通して決定していくので、とても時間がかかったこと、それを助成グループが焦らず進めていったことでした。
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細かな話を聞いているととても面白く、例えば島から出た子供世代がまとめて入金をする事前払いの仕組みがあるとか、認知症のおばあが毎日やってくるとか・・。これは調べたら面白いなと思いつつ。。
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那覇ではRIAの農連市場を見学したり、古本屋を巡ったりなど。コロナで往時よりは閑散としていたんだと思います。古本屋では山之口貘の詩集が推されていたので、(本土でも手に入るけど)購入。帰り道はひたすら「貧乏で、金を借りにいく、それが楽しい」みたいな詩を読んでいました。

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