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2021年8月

2021年8月22日 (日)

新型コロナウイルス感染症と都市・コミュニティ・市民の暮らし

本日は自治体学会の分科会に呼んでいただき、少しご無沙汰な先生方にオンラインで囲まれてドキドキしながら発表でした。司会は鈴木伸治さん、お題は「新型コロナウイルス感染症と都市・コミュニティ・市民の暮らし」。予言者ぶって、胸をはって「こうなります」なんて言えないことがはっきりしたので、「全体的に見通しが立たず、小さなことをあれこれやるしかない状況」という、何とも気分が上がらないことをもっともらしくお話しいたしました。
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政治やら都市計画の世界で大勝負をするのではなく、暮らしに近い小さなところで押したり引いたりのせめぎ合いをするしかなく、その小さなせめぎ合いの勝ち負けの積み上げで、じんわりと社会が変わっていく・・なんてイメージです。昨年末に新建築に発表したテキストでつくった表をあらためて使ってみました。

Ricovery
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最後にオープンスペースの議論になったのですが、「コロナで慣習が解けて、今は第二次か第三次かの、オープンスペースウォーズが勃発しているとき。キッチンカーやらが出て面白くなったOSもあれば、子供が騒いで在宅勤務の人から文句が出て使いにくくなったOSもある。あちこちの公園に新しい「〇〇禁止」という看板を立てられてしまう前に、「〇〇できます」という看板を立てていく」みたいなことを口走ってしまい、(これはたぶん私のオリジナルのアイデアではなく、どこかで聞いたアイデアだったと思うのですが)、いいアイデアだなあと思い起こしているところです。
コロナでじんわり、だらだらと、世の中のあちこちのルールが書き換えられており、せめてベターな方向に書き換えていきましょう、それを空間に刻印していきましょう・・ということです。
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ということで、久しぶりに議論すると、色々新しいことを思いついて、いいもんですねー。自治体学会も、本当にいい議論の場でした。亡き田村明先生、ありがとうございました!

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2021年8月 7日 (土)

若者からはじまる民主主義

「自分にあわせてまちを変えてみる力」という、アジアのまちづくりについてまとめた本を編集くださった萌文社の青木沙織さんから両角達平さんの「若者からはじまる民主主義」というご本を恵投いただきました。
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大雑把にわけると、教育学や政治学に分類されるような本で、私はほとんど素人ではあるのですが、体系的でわかりやすく読める本でぐいぐいと読了しました。プロジェクトや制度が単発的に紹介されるのではなく、社会の仕組みが体系的に理解できる、という意味で、ずいぶん前の本で分野も違うのですが、平山洋介先生の「コミュニティ・ベースト・ハウジング」を読んだときと同じような読了感でした。前半では若者団体、教育政策と学校、ユースセンターといった仕組みを構成する柱が事例もまじえて手際良く紹介され、それらが民主主義の基盤になっている・・という後半につながっていきます。若者参加が民主主義の基盤であるということ、言われてみれば当たり前のようなことに気づかされました。もう少し踏み込んで欲しかったところは、やっぱり気になる徴兵制(2018年に男女を対象とするものとして復活したそう)との関係ですかね。日本の若者が海外の若者と喋るときに、最初に大きな違いとして感じるのがそこなわけで。
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彼我の違いがどこにあるのかな、と気になる人口バランスを調べてみましたら、スウェーデンは、日本で起きなかった第三次ベビーブームらしいものがあり、かつ凸凹がそれほど激しくないといういい形をしていました。0歳から74歳まで、ほとんどの年齢階級が全人口の6%くらい(=人口の90%が74歳以下に均等に分散している)。移民が多いそうなので、民族別に見ると違った形のものが合算されている可能性はありますし(ホワイトは日本みたいに少子高齢、移民は多子短命ということがありそうですが、スウェーデンは移民を分けた統計をつくっていないそう)、そもそもスウェーデンはWW2の際は中立国だったので、戦後のベビーブームのようなことは起きていないかもしれないです。
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この形の上に、若者向け政策がしっかりと降り注ぐわけですが、この本のはその政策が若者の結社化(NPO的なものをつくる)を重視するものである、ということを紹介していきます。そりゃそうだよなと思ったのは、結社の活動が、ほぼ政府からの助成金で支えられていること。日本の場合は、90年代に政府と市場がいろいろ失敗してしまい、新自由主義的な枠組みに切り替えつつあったときに、ややたまたまNPO法がつくられたわけで、NPOには無意識的に「成長せよ、自立せよ、法人の収益が出ない程度に稼げ」という、人によっては理不尽な圧力がかかり続けたわけです。リソースが少ない家庭にたまたま生まれた子供のような扱いで、NPOはどこもかしこも苦労続き。みんなが古い家(政治と行政の世界)を追い出されて、小さな家が集まった新興住宅地でこじんまりとしたコミュニティを作っている感じになってしまい、結果的に「NPOの世界」と「政治の世界」と「行政の世界」が、この20年間、あまり統合されずに来てしまったように思います。だから政府のリソースがうまく使われない。
スウェーデンは長年の福祉国家の枠組みが維持されているわけで、政府による助成のプログラムがしっかりと準備されており、若者団体が「自分たちこそ公共だ」ということを競い、助成金(税の配分の奪い合い)のレースに参加できるようになっており、「NPOの世界」と「政治の世界」と「行政の世界」が統合されていくようになっている・・ように思いました。とはいえ、その基底をつくっているのが徴兵制なんじゃないかなあ・・とは思うので、もうちょっと慎重に判断はしたいところです。
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異なる国をそのまま比べて、そのまま直輸入というわけにはもちろんいかないわけですが、日本はもう人口が減るから、リソースを分散せずにうまいこと統合していきましょう、なんてことを考えてしまうわけで、この本をヒントにして、細かなところからしか出来ないだろうけど、リソースがうまく統合されるような、制度のデザインをあれこれやっていきたいなあ、と思った次第です。

Popswjpn

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